事業を始めたいと思ったときに、個人事業主で事業を始めるか、法人を設立して事業を始めるか、迷うところですね。
もちろんどちらで始めてもいいのですが、個人事業主で開業して、事業規模が大きくなってから法人の設立を検討しようというケースが多いのではないかと思います。
ではどのタイミングで法人化するのがいいのか、悩みますよね。
私の事務所でも、法人化した方がいいのか、いつすればいいのか、というご相談を受けることがあります。
法人化することによるメリット・デメリットがありますので、そこを考えていきたいと思います。
法人化のメリット
1.役員報酬の支給ができる
個人事業主は自分自身に給与を支給することはできませんが、法人は役員報酬として代表者に給与を支給することができます。
役員報酬は適正に支給すれば法人の経費になりますし、給与所得には一定額を差し引ける給与所得控除というものがあります。
2.家族にも役員報酬の支給ができる
家族を役員もしくは従業員にした場合、家族にも給与を支給することができます。
所得税は所得が増えるほど税率が上がるので、所得を分散することによってトータルの税額を抑えることができます。
3.赤字を10年間繰り越すことができる
青色申告をしている場合、年間の利益が赤字になったときに、その赤字を翌年以降に繰り越すことができます。
例えば、昨年は60万円の赤字だったが今年は100万円の黒字になった!という場合、
今年の黒字金額100万円ー昨年の赤字金額60万円=40万円 ← この40万円に税金がかかります。
個人事業主の場合は3年間の繰り越しですが、法人の場合は10年間繰り越すことができます。
現在は赤字だが長期的にみると黒字見込みだ、という場合に大きなメリットがあります。
4.決算期を決めることができる
個人事業主の場合は1月1日から12月31日までが一つの事業年度となり、翌年の3月15日までに確定申告をします。
法人の場合は好きな時期に決算月を決められるので、繁忙期を避けることができ、余裕をもって決算をすることができます。
デメリット
1.設立に費用がかかる
法人を設立するには、定款の作成・定款の認証・登記などの手続きが必要です。
株式会社を設立する場合は実費だけでも22〜24万円の費用がかかります。
2.赤字でも納税が発生する
法人住民税には、均等割りという税金があります。
資本金の額や従業員数によって金額は変わりますが、少なくとも7万円の納税は必ず発生します。
3.事務が複雑になる
個人事業主の場合は、自分で確定申告をされている方も少なくないと思います。
ですが、法人の確定申告となると、書類の数も増え、かつ複雑になります。
税理士に依頼する費用も個人事業主と比べると高くなります。
悩んだらご相談を
他にもメリット・デメリットはありますが、代表的なものを挙げてみました。
社会保険に関するメリット・デメリットもあるのですが、また今度考えてみたいと思います。
税負担を考えたときに、年間利益が800万円を超えているようであれば法人化のメリットは大きいのではないかと思います。
ただし、消費税の問題もありますので慎重に考える必要があります。
インボイスの登録をしなければいけないのか、それとも登録しなくても事業に影響がないのか、業種によっても変わってきます。
法人化したあとに後悔することのないように、どちらがいいのか悩んだときはご相談いただけたらと思います。

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